2022.7.23 Sat
<8月号プレビュー>
安倍ビジョンと日本の安全保障、米中にとっての台湾の軍事的価値、ウクライナの再建を考える他
多額の債務を抱え、人口減少によって長期的に不利な経済状況に直面するなかで、日本は今後防衛費を増額させていくことになるだろう。それでも、現状は安倍元首相が掲げたビジョンからはかけ離れているし、実際に彼のビジョンにたどり着けるかどうかも、わからない。安倍は、安全保障議論を進めて国を導くことのできる知的枠組みと政治的洞察力を備えた数少ない指導者だった。その死が日本にとって悲劇的な損失であることは誰もが認めている。・・・(リンド)
台湾は、日本、フィリピン、韓国を中国の威圧や攻撃から守る上で重要なフィリピン海へのゲートウェイとして、きわめて重要な軍事的価値をもっている。実際、北京が台湾を攻略して、そこに軍事インフラを設営し、フィリピン海への影響力を高めれば、中国の軍事的立場は大きく強化され、アジアの同盟国を防衛する米軍の能力は制限される。ワシントンの対中政策に関するすべてのジレンマが集約される場所であるだけに、台湾は世界でもっとも困難で危険な問題の一つだ。だが困ったことに、そこにあるのは、災いをもたらしかねない悪い選択肢ばかりだ。(グリーン)
先の見通しがたたない悲惨な状態のなかでも、一定の平和が戻ったときに、この国をどのように再建したいかを考え始めている人たちがいる。経済的喪失だけでなく、500万人以上が国外に難を逃れ、国内にいないこと、人口が大きく減少していることにも対処しなければならない。もちろん、安全、繁栄する近代的経済、家族の帰還、うまく計画された新しい都市建設などの夢がすべて実現するわけではないだろう。だが、過酷な戦争が続くなかでも、再建計画が話し合われている。ウクライナ人の勝利への決意は固く、ロシアの脅威によって彼らの結束とアイデンティティは逆に高まっている。・・・(レイド)