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2022.7.15 Fri
戦後秩序は衰退から終焉へ
―― ポスト・アメリカ世界の基本へ
数十年にわたって、ワシントンは複雑で困難な官僚的プロセスを通じて政策化される「大戦略」に依存してきたが、いまやシンプルな「国家戦略」に立ち返る必要がある。これは、世界をきめ細かに理解し、課題を素早く察知して対応する能力、機会に出会ったときにそれを利用する姿勢、そしてこれらすべてを支える機敏な外交政策の立案と遂行のための効果的なシステムを実現するようなアプローチをとらなければならないことを意味する。(コーエン)
保護主義、ナショナリズム、ポピュリズムがさらに勢いをもち、民主主義は廃れていく。内戦や国家間紛争が頻発して常態化し、大国間のライバル関係も激化する。グローバルな課題に向けた国際協調も不可能になっていく。この描写に違和感を覚えないとすれば、現在の世界がこの方向に向かっているためだろう。但し、戦後秩序をもはや再生できないとしても、世界がシステミックリスクの瀬戸際にあるわけではない。それだけに、米中関係の破綻、ロシアとの衝突、中東での戦争、あるいは気候変動と、何がきっかけになるにせよ、それがシステミックな危機にならないようにしなければならない。(ハース)
トランプの「アメリカ第1主義」は、外交の初心者が犯した間違いではなく、アメリカのリーダーたちが戦後外交の主流概念から距離を置きつつあるという重要な潮流の変化を映し出している。先の大戦期及びその直後に成人した世代は、アメリカが世界をリードしなければ、いかに忌まわしい世界が出現するかを本能的に理解していた。これは、戦争で苦しんだ末に得た教訓だった。しかし、この世代の多くが亡くなり、具体的に秩序を形作った子どもの世代も少なくなってきている。これが、今後の米外交政策にもっとも重要な帰結を与えることは間違いない。(コーエン)