Focal Points

Alexey Fedorenko / Shutterstock.com

2022.7.1 Fri

<7月号プレビュー>
ウクライナ紛争の地政学

ウクライナ戦争をめぐってインドは中立の立場をとり、ロシアを非難するのを控えているが、米政府高官たちはインドの行動を看過できぬとまではみていない。インドがロシアの軍事ハードウエアに依存していること、それを一夜にして解消できないことを理解しているからだ。しかし、ロシアが残虐行為を繰り返すなか、インドがロシアの原油や天然ガスを大量に購入し続ければ、ワシントンはニューデリーがロシアの戦争継続を可能にしているとみなし始めるだろう。インドの中立路線が長期化すれば、ワシントンが「インドを信頼できないパートナーとみなす」ようになる可能性は高まっていく。(カーティス)

ウクライナにおける戦争の流れは、ますますロシアに不利な方向に推移しており、ロシアの壊滅的な敗北で終わることはほぼ間違いないだろう。10年に及んだアフガニスタン戦争では、1万5000人のソビエト兵が命を落とし、それが共産主義体制の崩壊を促した要因の一つとなったが、今回のウクライナ戦争では、最初の2カ月でそれを上回る数のロシア兵が命を落としている。日露戦争の教訓も考えるべきだろう。ロシア連邦安全保障会議がプーチンを権力ポストから解任する可能性もある。この場合、政治権力が崩壊し、最終的に市民派が権力を掌握するかもしれない。(アスルンド)

ロシアの戦争目的が、もっぱらウクライナの「非ナチ化と非軍事化」だった段階はすでに終わっている。ワシントンと同盟諸国政府が、ウクライナの主権と領土の一体性を守るための支援に関与を限定してきた段階も同様だ。双方の指導者たちは、越えられないはずの一線を越えてしまっている。いずれ、両国は、相手の重要インフラに破壊的なサイバー攻撃をかけたい衝動に駆られるだろう。現状ではその可能性は低いが、核兵器の使用やNATO軍の投入さえも、もはや想定外とはみなせない。エスカレーションを阻むガードレールがなければ、この新冷戦のロジックがどこに向かうか、分からない状況にある。(ブレマー)

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