Focal Points

2022.4.22. Fri

<5月号プレビュー>
経済制裁から経済戦争へ、世界でもっとも危険な男、対ロシア秘密作戦の実施を

歴史的にみても、侵略者が国際秩序を破壊しようとするときは毅然と対決しなければならないが、一方で、非常に大きな経済国家に対するペナルティは、制裁の余波を被る諸国への支援策なしには遂行は難しくなっていく。家庭の物質的な豊かさが維持されない限り、制裁に対する政治的支持は時の経過とともに崩壊していくからだ。現在の制裁レベルが政治的に実現可能な最大限の圧力なのかもしれない。だが、欧米とロシアの経済戦争がこの強度でさらに長期化するようなら、世界は経済制裁が誘発する不況に陥っていく危険がある。コストがかからず、リスクもなく、予測可能な制裁の時代はすでに終わっている。(モルダー)

いまやプーチンの周りにいるのは、彼が望むことだけを伝え、不都合な事実は隠すイエスマンばかりだ。偽情報に囲まれた孤立した生活を送っているせいで、プーチンはNATOに対するパラノイア思考を高め、ロシア帝国再興の野望を妄想し、ロシアの軍事力に幻想を抱いている。しかも、ロシアのような個人独裁国家は、他の政治体制の国よりも常軌を逸した行動をとる傾向がある。実際、アメリカとNATOの指導者たちは、1962年のキューバ・ミサイル危機以降、全面核戦争をめぐる重大な危機に世界が直面していることを認識すべきだ。(セーガン)

欧米が和解的であればあるほど、プーチンが妥協する可能性は遠のく。国家保安委員会(KGB)の情報オフィサーとして、「人間は金、イデオロギー、強制、エゴで動く」と彼はたたき込まれている。プーチンを倒すには、ロシアやベラルーシ、チェチェン、カザフスタンなどで騒乱と対立を煽り、プーチンの権力掌握を脅かすことを欧米は考えるべきだろう。プーチンは長年にわたって、欧米諸国の足並みを乱れさせて分断統治戦略をとり、その政治構造に圧力をかけ、その焦点を(外ではなく)内側に向けさせる戦略をとってきた。アメリカはそれと同じ戦略をロシアに対してとる手段をもっているし、そうすべきだろう。(ロンドン)

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