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2022.3.15. Tue
中ロパートナーシップの高まる脅威
―― ロシアのウクライナ侵攻と中国の立場
中ロのパートナーシップは不自然だし、その見込みはあまりないと考えるアメリカの専門家は多い。しかし、この立場はすでに現実によって淘汰されている。両国は政府のあらゆるレベルでの交流を深め、投資、交通機関、スペースナビゲーション、軍事転用可能なテクノロジー開発などの領域で緊密に連携している。問題は、中ロパートナーシップをどうみるかをめぐって、欧米の専門家のコンセンサスがないために、ワシントンの政策決定者が、中ロ関係の有害な作用を阻止できなくなるまで、中ロ関係の本質について議論し続けるリスクを冒していることだ。(テイラー、シュルマン)
中国はロシアとウクライナの対話を求めつつも、明らかにロシア擁護の立場をとっている。中ロ両国の経済は相互補完関係にあるし、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は個人的に強い絆で結ばれているようだ。2月25日の電話会談でも、習は「交渉が望ましい」と述べるにとどめ、プーチンを批判した様子はなく、ロシアを経済・貿易面で支援するように指示したと報道されている。仮にロシアがウクライナの一部を手に入れ、傀儡政権を樹立し、経済制裁に持ちこたえれば、中国のナショナリストは台湾に目を向け、自分たちも同じことができると考えるかもしれない。(ジョンソン、ファン)
民主主義を切り崩していけば、欧米の影響力低下というトレンドを加速し、ロシアと中国の地政学的目標を促進できる。これが、中ロが共有している中核ビジョンだ。自国のパワーをアメリカのそれと比較して相対的に捉えるモスクワと北京は、欧米民主国家を衰退させれば、自国の国際的な地位向上につながると考えている。ロシアが民主体制を様々な方法で混乱させ、切り崩す一方で、中国が欧米民主主義の代替モデルを示し、困難な状況にある国に援助や投資を提供することで、弱体な民主国家が欧米から離れていく環境が作り出されている。(テイラー、シュルマン)
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中ロパートナーシップの高まる脅威
―― 手遅れになる前に行動を起こせ2019年6月号 アンドレア・ケンドール=テイラー 新アメリカ安全保障センター シニアフェロー<br>デビッド・シュルマン 国際共和研究所 シニアフェロー
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ロシアのウクライナ侵攻と中国の立場
―― 中ロ関係は、台湾はどうなるか2022年4月号 イアン・ジョンソン CFRシニアフェロー(中国担当) キャシー・ファン CFRリサーチアソシエート(中国研究)
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中ロによる民主国家切り崩し策
―― 台頭する権威主義モデルと追い込まれた欧米2018年11月号 アンドレア・ケンドール=テイラー 新アメリカ安全保障センター シニアフェロー <br>デビッド・シュルマン 国際リパブリカン研究所 シニアアドバイザー