2022.2.18. Fri
<2月号掲載論文より>
デジタル秩序の確立へ、サプライチェーンと混乱と再編は続く、エルドアン時代の終わりなど計10本
ルールを作っても、サイバー空間では、それが順守されているかが検証できないために、「サイバー空間における国家の責任ある行動ルール」の確立など、夢物語でしかないと考える人もいる。だが、ルールがあれば、他国の責任を問う行動に向けた基準が生まれる。現実には、サイバー攻撃を抑止するのは市中犯罪を抑止することに似ている。警察が試みているように、犯罪の根絶は無理でも、それを一定限度以内に抑えることを目的にすべきだ。サイバー攻撃のターゲットが増え続けている以上、われわれは抑止力と外交を組み合わせた戦略を模索することで、この危険な新世界のガードレールを強化していく必要がある。(ナイ)
各国で産業政策が復活するにつれて、世界でいかにモノが作られ、提供されるかをめぐって構造的な変化が起きるかもしれない。グローバルな生産と流通を永久に変える可能性があるのは、パンデミックの一時的な余波ではなく、むしろこのような国の政策だ。市場や産業そして企業の活動に各国政府は直接的に影響を与えようと試みるようになった。理由は、グリーン経済への移行、公衆衛生対策、人権保護、国家安全保障など多岐にわたる。もちろん、保護主義や地政学的思惑もある。実際、経済・技術・国家安全保障上の思惑を基盤とする政策上のアメとムチの世界的な拡散とエスカレーションは、世界の半導体産業の再編にとってパンデミックによる供給不足以上に重要な意味合いを持っている。(オニール)
2022年にはトルコのインフレ率は20%を超えると予想されており、もはや経済が好転する見込みはなくなりつつある。しかも、野党のリーダーたちは、エルドアンを倒すために2023年の選挙に向けて連帯することを約束している。ひとたび権力ポストを追われれば、エルドアンは起訴される可能性が高く、それだけに大統領の座を維持するためにあらゆることを試みるだろう。トルコの民主主義の根幹を揺るがすことなく、スムーズな政権交代をいかに実現するか。これが、いまやこの国の切実な課題だろう。(カガプタイ)