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2022.10.25 Tue
<11月号プレビュー>
大国の衰退が引き起こす混乱と戦争、習近平の弱点、水素エネルギーが地球環境を救う?
米中ロという大国は、一般に考えられる以上に脆弱な存在なのかもしれない。政策破綻を回避するために必要な「悪いシナリオに備える姿勢」、つまり、悲劇を回避するために未来を悲観的に考える能力は、北京、モスクワ、ワシントンでは不十分などころか、どこにもみあたらない。こうして帝国や大国は自滅的な戦争を決断し、戦争は歴史を左右する大きな節目を作り出してきた。帝国や大国は突然終わりを迎えることもあり、この場合、混乱と不安定化が続く。(カプラン)
習近平は中国の左派、中道派、右派の三つの派閥のすべての反発を買っている。左派は、毛沢東の政策を復活させるほど十分に(習は)踏み込んでいないと不満を募らせ、中道派は習近平が経済改革路線を反故にしたことに憤慨している。右派は、習近平がわずかな政治的議論さえも封じたために、完全に沈黙せざるを得なくなっている。エリート層のなかには、習が伝統的な権力分配の構造を破壊したことに憤慨し、「彼の無謀な政策が党の将来を危うくしている」と考えている者は少なくない。(蔡)
カナダ、チリ、ドイツ、インド、日本、オランダ、カタール、サウジアラビア、イギリスなど、世界の35カ国以上が水素エネルギー戦略を導入し、促進している。クリーンな水素エネルギーは、気候変動に対処していく上で不可欠であるだけでなく、貿易や商業面での競争力を高める大きなチャンスだと考えられている。特に、二酸化炭素を大気中に放出する従来の工程ではなく、太陽光や風力、水力、原子力から得たクリーンな電力を使って、水を水素と酸素に分解する「グリーン水素」を製造することに大きな注目が集まっている。(フリードマン)