2022.10.1 Sat
<10月号プレビュー>
プーチンが再現したい過去、台湾防衛のための軍事能力強化を、米対中戦略の落とし穴
プーチンは、ウクライナ、ヨーロッパ、そして全世界を、彼の歴史観にフィットするように再構築したいと考えている。バルト帝国やオスマン帝国との戦争を経て現在のウクライナ領を手に入れたピョートル大帝やエカテリーナ2世の像をモスクワの執務室に飾っているのには理由がある。だが彼は歴史を誤解し、曲解している。ピョートル大帝はヨーロッパ人をロシアに招き、経済発展に貢献させ、西洋への窓を開いた。プーチンは侵略と領土拡大を通じて、その窓を閉ざしてしまった。ピョートルはロシアを未来へと導き、プーチンは、ロシアを過去に押し戻そうとしている。(ヒル、ステント)
台湾有事の際に中国軍に対抗するためのもっとも有望な米軍の能力の多くは、2030年代まで整備されず、戦力に完全に統合されることはない。このため、2024年から2027年にかけて、台湾防衛が脆弱化する危険があり、習近平はこの段階で軍事的な台湾攻略が成功する可能性がもっとも高いと判断するかもしれない。アメリカは台湾の自衛能力の近代化と強化を支援するとともに、台湾への武力行使を抑止する米軍の能力を強化しなければならない。(フロノイ、ブラウン)
中国が世界のどこかで何かを試みると、その国の政府や住民が何を望んでいるかも十分考えずに、とにかく対抗しようとする罠にワシントンははまっている。より良いアプローチの指針は、その世界ビジョンに求めるべきだ。制裁であれ、関税であれ、軍事行動であれ、アメリカの政策を判断する基準は、中国の国益をどれだけ損なえるか、相手に対する優位を得られるかどうかではなく、「アメリカが望む世界へ向けた進歩がどれだけ得られるか」に定める必要がある。(ワイス)