2022.1.27. Thu
<2月号プレビュー>
社会の信頼をいかに再構築するか、台湾有事と日米同盟、エルドアン時代の終わり?
ソーシャルメディアの偽アカウントを使った偽情報で何千人もの有権者の政治的立場を変化させられるのなら、サイバー攻撃を独裁者が躊躇する理由はない。しかも、デジタルへの依存が高まり、テクノロジー、人間、組織のつながりが希薄になればなるほど、「人と人との信頼を揺るがすサイバー空間の脅威」はより大きく、深刻になる。経済、重要インフラ、軍事力の基盤となるネットワークとデータ構造のレジリエンス強化を優先し、人と人との直接的なつながりと信頼を取り戻す必要がある。より強力なレジリエンスを構築できなければ、サイバー攻撃の連鎖とそれが生む不信感が、民主社会の基盤を脅かし続けることになる。(シュナイダー)
中国は尖閣諸島を「台湾省」の一部とみなしているため、台湾をめぐって紛争になれば、尖閣諸島も攻略しようとするかもしれない。米軍の介入にもかかわらず、中国が目的を達成すれば、日本は、同盟国のアメリカはひどく弱体化したとみなし、外交政策や防衛態勢を根本的に見直さざるを得なくなるだろう。中国による台湾編入が成功すれば、日本の経済的安全保障も損なわれる。だが、市民の平和主義が根強いために、アメリカを支援することに伴う潜在的なコストやリスクが、日本による支援を制約することになるかもしれない。(サックス)
2022年にはトルコのインフレ率は20%を超えると予想されており、もはや経済が好転する見込みはなくなりつつある。しかも、野党のリーダーたちは、エルドアンを倒すために2023年の選挙に向けて連帯することを約束している。これまで政治腐敗に手を染め、権力を乱用してきただけに、ひとたび権力ポストを追われれば、エルドアンは起訴される可能性が高く、それだけに大統領の座を維持するためにあらゆることを試みるだろう。トルコの民主主義の根幹を揺るがすことなく、スムーズな政権交代をいかに実現するか。これが、いまやこの国の切実な課題だろう。(カガプタイ)