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2022.1.20. Thu

ロシアとウクライナの紛争リスク
―― プーチンの真意はどこに

かつてはロシアとの対話に前向きな姿勢を示していたウクライナのゼレンスキー大統領も、いまや対ロ妥協路線を放棄し、欧米との協調を模索している。ウクライナとの国境線に部隊を動員しているモスクワはもはや外交の機会は失われたとみているのかもしれない。しこれまでウクライナのNATO加盟をレッドラインとみなしてきたロシアは、いまや欧米とウクライナの防衛協力の強化を看過できないとみなし始めている。モスクワが武力によって現在の均衡をリセットする環境が整いつつある。(キメージ、コフマン )

ウクライナの東部国境近くに約9万のロシア兵が集結しているために、「ロシアのウクライナ攻撃が迫っているか、少なくとも今後数カ月以内に侵攻があるのではないか」と懸念されている。だが、モスクワは、かつてない戦力増強を利用して、アメリカを交渉のテーブルにつかせ、より幅広い問題の話し合いに応じさせたいだけなのかもしれない。キエフへの圧力を高めることで、ウクライナ近隣のヨーロッパ諸国を不安にさせ、ロシアの真の目的がどこにあるのかをアメリカに憶測させることも狙いのはずだ。実際にモスクワが望んでいるのは、中国重視のバイデン政権がロシアへの関心をもっと高めることなのかもしれない。(ステント)

人口減少や資源依存型経済など、ロシア衰退の証拠として指摘される要因の多くは、ワシントンの専門家が考えるほどモスクワにとって重要ではない。プーチンの外交政策は、ロシアの支配層に広く支持されており、クリミア編入をはじめとする未解決の紛争も彼の遺産とみなされている。アメリカとの対立は今後も続くだろう。つまり、ワシントンには中国に焦点を合わせ、ロシアの衰退を待つという選択肢はない。アメリカのリーダーは、ロシアを衰退途上にある国とみなすのではなく、永続的なパワーをもつ大国とみなし、ロシアの本当の能力と脆弱性を過不足なく捉えて議論しなければならない。(コフマン 、テイラー)

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