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2021.6.8. Tue
新保守主義がなぜ必要か
―― アメリカ政治再生の鍵を握る保守主義の再編
経済リバタリアン、社会的保守派、外交タカ派の連合は、それぞれが自分たちのポートフォリオを重視するあまり、公共政策の多くが(最大公約数的に)市場原理主義者という小さな集団の手に委ねられてしまった。保守派の経済思想が衰退するにつれて、リバタリアンの思想が市場原理主義へ固定され、今日ではほとんどのコメンテーターはそうした原理主義思想の持ち主を「保守派」と呼んでいる。進歩主義はアイデンティティ政治や高学歴エリート特有のつかみ所のない悩みにますます執着している。だが「家族やコミュニティが依って立つ基盤に関する懸念に焦点を当てた(保守派の)イデオロギー的メッセージ」を前にすると進歩主義に力はない。(キャス)
先の米大統領選は、アメリカ社会の深い亀裂を露わにし、警戒すべきレベルのトライバリズム(政治とアイデンティティをベースとする集団主義)政治が存在することを明らかにした。有権者は政策への関心ではなく、アイデンティティに基づく党派主義の立場をとった。民族的・イデオロギー的アイデンティティが政党を蝕んでいる。アメリカの外交官や専門家たちが、現在のアメリカのような現象を外国に見出した場合、問題を解決するための外交的介入を訴えるかもしれない。重要なのは、違いを取り除くことではない。違いを管理する方法を学ぶことだ。(ブリガティー)
支持政党を分ける大きな要因はもはや政策ではなく、心の奥底にある価値観やアイデンティティだ。このために(自分の支持政党ではない)「もう一つの政党」は反対政党であるだけでなく、敵とみなされている。そして政治とは、共通の問題に対処していくための妥協点をみつけることではなく、自分の側が相手に勝利を収めるための闘いとみなされている。バイデンはブルーカラーの労働者、高齢の文化的伝統主義者、急進的な変化を恐れる女性たちに寄り添っていくつもりだ。取り残された人々に手を差し伸べ、すべてのアメリカ人が意見の違う人々をより尊重するように求めることから始めるべきだろう。それが、アメリカの魂を取り戻すことになる。(ソーヒル)