Focal Points

2021.6.4. Fri

<6月号プレビュー>チベットという名の監獄、アンゲラ・メルケルとその時代、中国の空虚な地政学戦略

チベットの緊張が近く再び山場を迎える恐れがある。85歳のダライ・ラマが命の終わりに近づいているかもしれないからだ。すでに北京は、中国共産党が次のダライ・ラマ指名プロセスを管理すると発表している。このような異例の措置をとれば、新たなチベット騒乱をもたらす導火線に間違いなく火をつけることになる。(フレンチ)

2005年以降、ドイツの首相を務め、2021年に政界からの引退を表明しているアンゲラ・メルケルは、いまもドイツでもっとも人気のある政治家だ。しかし、政府の新型コロナウイルス対策への世論の不満が高まるにつれて、政権の支持率は急落している。忍び寄るメルケル時代の終焉は、後継候補が気にするだけにとどまらない重要な問いを浮上させている。それにしても彼女は権力をどのように形作ったのか、それは再現できるのか。メルケルはドイツ、近隣諸国、同盟国の環境をよりよいものに進化させられただろうか。そして未来に向けてドイツを備えさせているだろうか。(シュテルツェンミュラー)

貿易交流や一帯一路を通じた融資、ワクチンやマスクの供与など、中国は経済力をツールに地政学的影響力を高めているとみなされている。債務トラップ外交で相手国に過大な債務を負わせて自国の影響力を高め、言うことを聞かぬ相手は経済的強制策で締め上げる。多くの専門家がこの事態を懸念している。だが中国のパフォーマンスは、考えられているほど見事ではない。北京の高官たちは、融資によって経済開発が進めば、受け入れ国は中国に感謝し、好感情をもつようになると考えているかもしれない。しかし、この認識が間違っていると信じるべき理由がある。・・・(ウォン)

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