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2021.6.3. Thu
パンデミック後の世界経済
―― 新興国が経済成長を主導する
新興国経済が今後の世界経済の成長を牽引すると考える理由は数多くある。先進国政府が、(パンデミックによる)経済の痛みを和らげようと、大規模な財政出動に資金を投入しつつも、その帰結を無視するか、説明をはぐらかしてきたのに対して、途上国は生産性向上に向けた改革を実施せざるを得ない状況に追い込まれた。経済成長をコモディティ輸出に依存している途上国にとっては、資源価格がすでに上昇に転じていることも良い知らせだろう。今後10年間で新興国の平均成長率が1%でも上昇すれば、現在は1日2ドル未満の生活を余儀なくされている人々の2億人が貧困ライン以下の生活から脱出することになる。(シャルマ)
多くの人が、民間部門がイノベーションと価値創造の主要な原動力だったと信じてきたために、利益は民間企業が手にする権利があると考えている。だがこれは真実ではない。医薬品、インターネット、ナノテク、原子力、再生可能エネルギーなど、これらのすべては政府の膨大な投資とリスクテイキングのおかげで実現してきた。イノベーションのために公的資金を投入しつつも、それから恩恵を引き出してきたのは、おもに企業とその投資家たちだった。COVID19危機は、この不均衡を正す機会を提供している。富の創造への公的資金の貢献を明確に理解すれば、公的投資の意味合いを変化させることができる。目の前にある課題は、よりすぐれた経済システム、よりインクルーシブで持続可能な経済を官民で形作ることであり、世界の誰もがCOVID19ワクチンを利用できるようにすることでなければならない。(マッツカート)
2008年のグローバル金融危機、グローバルパンデミックのどちらか一つでも、各国政府は思うままに紙幣を刷り増し、借り入れを増やしたかもしれない。だが、これら二つの危機が波状的に重なることで、国の歳出能力そのものが塗り替えられつつある。これを「マジックマネー」の時代と呼ぶこともできる。「しかし、インフレになったらどうするのか。なぜインフレにならなくなったのか、そのサイクルはいつ戻ってくるのか」。この疑問については誰も確信ある答えを出せずにいる。(マラビー)