2021.6.25. Fri
<7月号プレビュー>
ワクチン革命への課題、対中戦争に備えるには、米同盟国が核武装するとき
ウイルスの遺伝子配列の特定からmRNAを利用したワクチンが臨床試験に入るまでに要した期間は3カ月足らず。この技術があれば、致命的なパンデミックを引き起こすかもしれない未知の病原体「疾病X」に備えることもできる。だが課題も多い。「免疫がどの程度持続するのか」が分かっていない。生産能力が依然として限られ、保管の問題があるために、大規模な接種キャンペーンを実施するにはロジスティック面での問題を伴う。さらに、感染力が強い変異株が世界で急速に拡散しており、それが従来の株よりも致死的なのか、ワクチンの効果が弱まるかが依然としてはっきりしない。(ルリエ他)
もし中国が台湾を攻略すると決めたら、米軍がいかにそれを阻止しようと試みても、中国軍に行く手を阻まれると多くの専門家はみている。だが、これは真実ではない。中国の周辺海域や同盟国にミサイルランチャー、軍事ドローン、センサーを事前配備すれば、(容易に近づけぬ)ハイテク「地雷原」を形作れる。これらの兵器ネットワークは、中国にとって無力化するのが難しいだけでなく、大規模な基地や立派な軍事プラットフォームを必要としない。問題は、アメリカの国防エスタブリッシュメントがこの戦略への迅速なシフトを怠り、時代遅れの装備と重要ではないミッションに資源を投入して浪費を続けていることだ。(ベックリー)
中国とロシアが核戦力を近代化し、強硬路線に転じるにつれて、アジアとヨーロッパ双方の米同盟諸国は軍事的脅威の高まりにさらされている。一方で「アメリカは長年の軍備管理合意から距離を置き、米市民も、もはやグローバルなエンゲージメントに前向きではない」と同盟諸国はみている。このために「自国の防衛と安全保障をワシントンに頼れるのか、それとも、核武装を考える時期がきたのか」と考え始めている。うまく対処しない限り、アメリカの同盟諸国は核武装を選択することになるかもしれない。(ヘーゲル他)
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ワクチン革命への課題
―― そのポテンシャルを開花させるには2021年7月号 ニコル・ルリエ 感染症流行対策イノベーション連合(CEPI) 戦略アドバイザー ヤコブ・P・クレイマー CEPI臨床統括者 リチャード・J・ハチェット CEPI最高経営責任者
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対中戦争に備えるには
―― アジアシフトに向けた軍事ミッションの合理化を2021年7月号 マイケル・ベックリー タフツ大学准教授(政治学)
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米同盟国が核武装するとき
―― クレディビリティの失墜と核拡散の脅威2021年7月号 チャック・ヘーゲル 元米国防長官(2013―15) マルコム・リフキンド 元英外務大臣(1995―97) ケビン・ラッド アジア・ソサエティ会長 アイボ・ダールダー シカゴ外交問題評議会会長