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2021.5.31. Mon
台湾とアメリカ
―― 抑止力と米中衝突のリスク
台湾有事にアメリカの介入があるかないか。これを曖昧にするこれまでの戦略では抑止力は形作れない。むしろ、「台湾に対する中国のいかなる武力行使に対しても、ワシントンは対抗措置をとる」と明言すべきだ。有事介入策の表明は、抑止力を高め、米中衝突の危険がもっとも高い台湾海峡での戦争リスクを低下させることで、長期的には米中関係を強化することになる。アメリカが台湾の防衛に駆けつける必要がないようにする最善の方法は、中国にそうする準備ができていると伝えることだ。(ハース 、サックス )
ワシントンは慎重なアジア政策をとっていると考えられているが、実際には、環境が変化していることを考慮せずに、既存のコミットメントを維持している。かつてのようなパワーをもっていない大国が、現状を無理に維持しようと試みれば、非常に危険な賭けに打って出る恐れがある。もちろん、東アジアの同盟関係へのコミットメントは維持すべきだが、台湾を含む南シナ海地域への関与路線は見直すべきだろう。これは、南シナ海において中国がより多くの影響力をもつことを認め、台湾を手放し、もはや東アジア地域における支配的なパワーではないことをワシントンが受け入れることを意味する。・・・(グレーザー)
中国の積極性の高まりと軍備増強、一方での米抑止力の後退が重なり合うことで、米中戦争がアジアで起きるリスクはこの数十年で最大限に高まっており、しかもそのリスクは拡大し続けている。アメリカを衰退途上の国家だと確信し、すでに抑止力は空洞化しているとみなせば、北京は状況を見誤って台湾を封鎖あるいは攻撃する恐れがある。早い段階で台湾に侵攻して既成事実を作り、ワシントンがそれを受け入れざるを得ない状況を作るべきだと北京は考えているかもしれない。(フロノイ)