Focal Points

2021.12.22. Wed

アンソロジーVol.48「壊れゆく世界環境と秩序」
―― 多極化する世界と国家モデル

冷戦終結以降、世界が目の当たりにしてきたのは、民主主義の後退と言うよりも、むしろ、中ロなどの権威主義国家の復活だった。今後数十年は、民主主義と独裁体制間の延々と続く長期的競争によって特徴付けられることになる。実際、内に権威主義諸国を抱えるようになったEUとNATOは機能不全に陥り、価値を失っていくかもしれない。民主国家が大胆な行動を起こさない限り、さらに憂鬱な未来に直面する。(モンク)

「世界を権威主義にとって安全な場所」にしようと、リベラルな秩序を支える主要な要因を排除しようとする権威主義国もある。特に中国とロシアは外交・経済力そして軍事力を行使して、オルタナティブ(代替)ビジョンを推進している。現在のトレンドをみるかぎり、世界政治を特徴づける非自由主義的要素と自由主義的要素のバランスは大きく変化していくかもしれない。反動的なポピュリズムが力を増し、権威主義国家が頑迷な路線をとるようになったために、人権、政治的権利、市民権を尊重する思想が切り崩されつつある。(クーリー、ネクソン )

ほぼ400年にわたって国家は国際政治の主要なアクターとして活動してきたが、それも変化し始めている。いまやビッグテックは政府に匹敵する地政学的影響力をもち始めている。ビッグテックの地政学的な姿勢や世界観を規定しているのはグローバリズム(アップル、グーグル、フェイスブック)、ナショナリズム(マイクロソフト、Amazon)、テクノユートピアニズム(テスラ)という三つの大きな思想・立場で、国家の立場ではない。国家的な優先事項を追求するために、大国の政治家が巨大テクノロジー企業をたんなる地政学的なチェスの駒として自由に動かせる時代は終わりつつある。(ブレマー)

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