2021.11.19. Fri
<12月号プレビュー>
地政学パワーとしてのビッグテック、より公平な新経済システムへ 、膨大な中国の債務問題
政治学者が政府を分類するのに「民主国家」、「独裁国家」、その双方の要素を併せ持つ「ハイブリッド体制」などのさまざまな用語を用いてきたように、いまや個々のビッグテックを理解するための分類を考案すべきだろう。ビッグテックの地政学的な姿勢や世界観を規定しているのは、グローバリズム(アップル、グーグル、フェイススブック)、ナショナリズム(マイクロソフト、Amazon)、テクノユートピアニズム(テスラ)という三つの大きな力で、国単位での区分ではない。テクノロジー企業は名実ともに独立した地政学アクターになりつつある。むしろ、テクノロジー企業はワシントンと北京の行動だけでなく今後の秩序を左右する影響力をもつようになるだろう。(ブレマー)
パンデミックはフリードマノミクスをたたきのめす最後の一撃だったかもしれない。しかし、サミュエルソンがおそらくは認識し、受け入れていたかもしれない「増税と政府による経済管理」という世界もまだ完全には出現していない。この新しいパラダイムが、1940年代のケインズ主義や1980年代のフリードマン的市場経済原理主義のように定着するかどうかは、依然として多くの要因に左右される。グリーンエネルギーに投資し、医療、育児、教育などの公共財にもっと多くの費用をかけ、賃金、富、住宅、教育、健康などの分野における人種間の格差を是正していくことが期待されている。(ウォン)
本来、住宅価格と企業への貸し出しは連動している。景気が良ければ、銀行は企業への融資を増やし、消費者は増えた収入で不動産を購入し、このサイクルのなかで不動産価格は上昇していく。景気が冷え込むと、収入も減り、デフォルト(債務不履行)が増大し、これらのトレンドは逆転する。だが、中国では事情がまったく違う。2012年に習近平が権力を掌握して以降、中国の住宅価格と銀行の企業向け融資は連動していない。一方が上がればもう一方は下がり、逆もまた真だ。習近平期の中国における融資総額は、結局、政府のGDP成長率目標(今年は6%)に左右されるためだ。2022年10月にかつてない3期目の政権を担うことを習近平がもっとも重視している以上、成長を実現することが最優先とされ、このやり方が続けられる。(ステイル、ロッカ)