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2021.10.27. Wed
<11月号プレビュー>
グレーゾーン事態と小さな侵略
―― アメリカは同盟国を本当に守れるのか
小さな侵略・征服行動の背後には明確な戦略がある。それを取り返すのではなく、仕方がないと侵略された側が諦めるような小さな領土に侵略をとどめれば、あからさまに国を征服しようとした場合に比べて、全面戦争になるリスクは大きく低下する。だが現実には、中国による台湾侵攻、封鎖、または空爆のシナリオばかりが想定され、(金門島・馬祖島、あるいは太平島を含む)台湾が実行統治する島々を中国が占領する」という、より可能性の高いシナリオが無視されている。そうした小領土の占領を回避する上でもっとも効果的なのが、(応戦の意図を示す小規模な)トリップワイヤー戦力、特にアメリカのトリップワイヤー戦力だ。(アルトマン)
尖閣諸島の防衛を約束しているとはいえ、中国は「価値のない岩の塊のためにアメリカが大国間戦争のリスクを冒すことはない」と考えているかもしれない。一方、ワシントンが信頼できる形で反撃すると約束しなければ、拡大抑止はその時点で崩壊し、尖閣の喪失以上に深刻な帰結に直面する。アメリカが何の反応も示さないことも許されない。これが「尖閣パラドックス」だ。今後の紛争は、大規模な報復攻撃を前提とする伝統的な抑止が限られた有効性しかもたない、こうしたグレーゾーンで起きる。脅威の質が変化している以上、ワシントンは軍事力と経済制裁などの非軍事的制裁策を組み合わせた新しい抑止戦略の考案を迫られている。(オハンロン)
中国の積極性の高まりと軍備増強、一方での米抑止力の後退が重なり合うことで、米中戦争がアジアで起きるリスクはこの数十年で最大限に高まっており、しかもそのリスクは拡大し続けている。アメリカを衰退途上の国家だと確信し、すでに抑止力は空洞化しているとみなせば、北京は状況を見誤って台湾を封鎖あるいは攻撃する恐れがある。早い段階で台湾に侵攻して既成事実を作り、ワシントンがそれを受け入れざるを得ない状況を作るべきだと北京は考えているかもしれない。(フロノイ)