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2021.10.15. Fri
台湾、南シナ海、尖閣
―― グレーゾーン事態と次の戦争
小さな侵略・征服行動の背後には明確な戦略がある。相手がそれを取り返すのではなく、仕方がないと諦めるような小さな領土に侵略地域をとどめる。この戦略なら、あからさまに国を征服しようとした場合に比べて、全面戦争のリスクは大きく低下する。だが実際には、中国による台湾侵攻、封鎖、または空爆のシナリオばかりが想定され、「台湾が実行統治する島々を中国が占領する」という、より可能性の高いシナリオが無視されている。そうした小領土の占領を回避する上でもっとも効果的なのが、(応戦の意思を示す小規模な)トリップワイヤー戦力、特にアメリカのトリップワイヤー戦力を事前配備しておくことだ。尖閣、スプラトリー、台湾を守るトリップワイヤー戦力は配備されておらず、ワシントンには、そうした小規模の部隊を展開する政治的意志はほとんどない。・・・(アントルマン)
COVID19パンデミックを経て、(大陸の)権威主義政権は「その統治モデルが民主主義のそれ以上に21世紀の要請にうまく適応できる」とさらに確信するようになった。これがイデオロギー競争をさらに加速している。力強い民主主義と欧米のスタイルをとりながらも、中国文明の影響を受け、アジアの伝統によって規定されている台湾は、そのプレゼンスと持続的な繁栄を通じて、中国共産党が主張するストーリーへの反証を示すと共にその地域的野心に対する障害を作り出している。・・・台湾が倒れれば、地域的平和と民主的同盟システムにとって壊滅的な事態になることを認識する必要がある。(蔡英文)
この数カ月、北京が平和的な台湾アプローチを見直し、武力による統一を考えていることを示唆する不穏な動きがある。かつては台湾への軍事作戦など現実的オプションではないと考えていた中国政府も、いまや、それを現実の可能性として捉えている。習近平は台湾問題を解決するという野心を明らかにし、武力統一というオプションへの中国市民と軍指導層の支持も強化されている。この30年で初めて、ほぼ1世紀にわたる内戦を決着させるために中国が軍事力を行使する可能性を真剣に憂慮すべき環境にある。(マストロ)