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2021.1.6. Wed

<Agenda2021 >
ワクチンの可能性と限界
―― コロナウイルスが変えた世界 Part 8

開発中の新型コロナウイルスのワクチン候補は160に達し、すでに治験に進んでいるものも21ある。開発国を含む富裕国は、早い段階でワクチンを入手しようとすでに競い合っている。各国の目的は、他の地域でのCOVID19の感染拡大を抑えることではなく、自国市民へのワクチン供給を優先することにある。このような「ワクチンナショナリズム」は、広い範囲で深刻な帰結をもたらす。有効性が確認された最初のワクチンが出現する日が近づいているだけに、グローバルレベルでの公平な分配をめぐる執行可能なシステムを準備する時間はなくなりつつある。(ボリキー、ボウン)

将来のアウトブレイクリスクを排除するには、世界人口の70%がワクチンの接種あるいは感染と回復を通じて、コロナウイルスの免疫を獲得する必要がある。COVID19に感染したのは世界人口の10%と推定されるだけに、グローバル規模のワクチン接種でリスクを抑え込むのは非常に難しい。ソーシャルメディアを通じて拡散される反ワクチンのプロパガンダや偽情報が・・・ワクチンへの信頼を貶めるかもしれない。有効なワクチンの供給で、コロナ危機が終わるわけではない。迅速な勝利がもたらされることはなく、むしろ、ウイルスとの長期に及ぶデタントの時代の始まりになる可能性が高い。(ミショー、ケイツ)

ワクチンの大規模接種と感染・回復の免疫獲得によってアメリカは集団免疫を実現し、2021年秋までには平常への復帰を果たせるかもしれない。一方、コロナウイルスのアウトブレイクを短期間で封じ込めただけに、ウイルスにさらされた中国人はほとんどおらず、このままでは中国の人口の多くがこの感染症に脆弱なままの状態に置かれる。この「免疫ギャップ」によって(中国が今後集団免疫を獲得する上で大きな困難とリスクに直面するとすれば)、もはや(初期段階で感染症を封じ込めた)中国の「成功」と(そうできなかった)欧米諸国の「失敗」を、中国モデルの優位を示す証拠として指摘できなくなり、中国の指導者に政治問題を突きつけることになるかもしれない。つまり、ワクチンが大国間競争のゲームチェンジャーになる可能性がある。(ファン)

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