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2021.1.14. Thu
アメリカはどこへ向かうのか
―― さようなら、国際主義のアメリカ
今後の世界では紛争がより一般的になり、民主主義はさほど一般的な政治制度ではなくなっていく。友人を安心させ、敵を抑止する同盟関係の作用が弱まっていけば、核拡散が加速し、大国の勢力圏が拡大していく。貿易はより管理され、ゆっくりと成長する程度で、縮小していくかもしれない。ドルの影響力も低下するだろう。そして戦後75年間続いた世界秩序は確実に終わる。唯一の疑問は、何が旧秩序にとって代わるかだ。その多くは、アメリカが今後どのコースをとるかに左右される。(ハース)
トランプの「アメリカ第1主義」は、外交の初心者が犯した間違いではなく、アメリカのリーダーたちが戦後外交の主流概念から距離を置きつつあるという重要な潮流の変化を映し出している。先の大戦期及びその直後に成人した世代は、アメリカが世界をリードしなければ、いかに忌まわしい世界が出現するかを本能的に理解していた。しかし、この世代の多くが亡くなり、具体的に秩序を形作った子どもの世代も少なくなってきている。これが、今後の米外交政策にもっとも重要な帰結を与えることは間違いない。トランプが大統領の座を退いても、「アメリカのリーダーシップなき世界」がどのような末路を辿るかを知る人々が支えたかつてのコンセンサスへアメリカが回帰していくことはない。(コーエン)
戦後のアメリカの世界関与を促したのは、自由を世界に拡大したい、あるいは国際秩序を構築したいという思いからではなく、国内でリベラルな民主主義を守るための必要性に駆られてのことだった。民主的な統治の価値を信じる現在のアメリカ人にとっての最大の課題も、まさに、国内で機能する民主主義を再建することに他ならない。必要なのは、アメリカは自らがイメージする通りに戦後世界を形作ったとする空想上の過去に戻ることではない。むしろ、1963年にケネディが語ったように、自由主義であれ、非自由主義であれ、「多様性を受け入れる」世界秩序を維持するだけで十分ではないか。(アリソン)