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2020.9.23.Wed
コロナウイルスと米中の覇権
―― 欧米なき世界と中国なき世界への分裂
新型コロナウイルスが確認されて数週間もすると、ソーシャルメディアではウイルスは生物兵器だと示唆するコメントが目立つようになった。実際、ウイルスがどこからやってきたかを特定できれば、専門家と政府が、拡散を防ぐ最善の策を特定し、将来におけるアウトブレイクを阻止する助けになる。これまでのところ、ウイルスは生物兵器として開発されたとする説、あるいは偶発的に実験室から外部環境へ漏出してしまったとする説は、野生動物取引市場で動物由来のウイルスがヒトに伝播したという考え同様に、一定の信憑性をもっている。問題は陰謀論が米中間の不信に根ざし、それが一人歩きを始めていることだ。・・・(ファン)
ワシントンがパンデミック対策に失敗する一方、迅速な動きをみせた北京は、パンデミックの対応を主導するグローバルリーダーとして自らを位置づけようと試みている。自国の体制のメリットを喧伝し、諸外国に援助を提供し、外国政府を一つの方向へ動員しようとするなど、大胆な行動をみせている。アウトブレイクを隠蔽しようとした北京の初動ミスが、世界の多くの地域を苦しめている危機を助長したのは事実だろう。それでも、「中国がリーダーシップをとっているようにみなされ、ワシントンにはその能力も意思もないと判断されれば」、21世紀の世界のリーダー争いを根本的に変化させられることを北京は理解している。(キャンベル、ドーシ)
もはや中国には、欧米が主導する国際アジェンダを支持するつもりはなく、中国はすでにグローバル秩序を変化させようと洗練された多国間外交を展開している。欧米も、TPPやTTIPなど、自らの思い通りに国際システムを作り替えようとする中国の能力を制約するような関係と政策を模索している。緊張が高まっていけば、米中関係においてこれまで機会と考えられてきたものが、脅威とみなされるようになる。今後出現するのは、表面的には冷戦構造に似た、新しく奇妙な二極世界になるだろう。(レナード)