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2020.7.8 Wed
気候変動で慢性化した異常気象
―― 温暖化への適応か国の消滅か
気候変動に派生する異常気象が引き起こす災害への対応コストは膨れあがり、いまや短期的な緊急対応能力だけでなく、長期的な投資や経済成長も脅かされつつある。しかも、異常気象は1度きりの出来事ではなく、いまや慢性化しており、これを管理していくには、現在の政策決定者の気候変動に対する捉え方とはまったく異なるアプローチが必要になる。異常気象が、一過性の風邪ではなく、慢性疾患化していることを認識した上で、それに即した計画で備える必要がある。(ゴードン 、フリードマン )
アメリカの場合、社会・経済インフラは歴史的水準の異常気象に耐えられるように設計されているが、いかに手を尽くしても、今後の気候変動と災害の衝撃が過去のそれを上回るようになるのは避けられない。災害後の復興策もこれまでのやり方では財政がもたない。生き残るには、これまでのインフラ、データシステム、そして災害予算政策を抜本的に刷新する必要がある。災害に対するレジリエンス強化に向けた投資が必要だし、気候変動リスクをわれわれはもっと正面から捉えなければならない。(ヒル、ディアス )
スポーツチームが25連敗すれば、当然、コーチは入れ替えられる。温暖化対策に関する一連の会議でまとめられた国際合意も、ことごとく結果を出せずに失敗を続けている。コーチを入れ替え、これまでの間違いを正せる新しい設計が必要だ。「クライメート(気候変動)クラブ」を立ち上げる構想を提案したい。メンバーに恩恵をもたらすクラブモデルを採用すれば、メンバーは排出量削減に向けた規律を守るようになる。(ノードハウス)
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気候変動で慢性化した異常気象
―― そのダメージとコストに対処するには2018年11月号 ケイト・ゴードン リッジ・レーン パートナー ジュリオ・フリードマン コロンビア大学グローバルエネルギー政策センター シニアリサーチフェロー
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温暖化への適応か国の消滅か
―― 気候変動が引き起こす大災害の衝撃に備えよ2020年1月号 アリス・ヒル 米外交問題評議会 シニアフェロー(気候変動政策担当) レオナルド・マルティネス=ディアス 世界資源研究所持続可能な金融センターの グローバルディレクター
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温暖化と気候変動対策クラブ
―― いかに態勢を立て直すか2020年6月号 ウィリアム・ノードハウス イエール大学教授(経済学) 2018年ノーベル経済学賞受賞者