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2020.7.17 Fri

アジアにおける戦争を防ぐには
―― 米抑止力の形骸化と中国の誤算リスク

中国の積極性の高まりと軍備増強、一方での米抑止力の後退が重なり合うことで、米中戦争がアジアで起きるリスクはこの数十年で最大限に高まっており、しかもそのリスクは拡大し続けている。アメリカを衰退途上の国家だと確信し、すでに抑止力は空洞化しているとみなせば、北京は状況を見誤って台湾を封鎖あるいは攻撃する恐れがある。早い段階で台湾に侵攻して既成事実を作り、ワシントンがそれを受け入れざるを得ない状況を作るべきだと北京は考えているかもしれない。(フロノイ)

香港やアジアの他の地域での中国の最近の行動は、北京の目的が変化し(拡大し)続けているのではないか、その目的のために強制力を用いる意図を高めているのではないかという厄介な疑問を浮上させている。習近平がリスクテーカーで、紛争も辞さず、領有権の主張にこだわりをもっていることは明らかだし、ワシントンは、香港に十分に考え抜いた対応をとる必要がある。北京を誤解させ、より攻撃的な路線へ向かわせるリスクを抑え込む必要がある。(グリーン、メデイロス)

中国で対台湾強硬論が高まっている。「アメリカは台湾を守る戦闘のために部隊を送り込むとは考えにくい」とメディアは指摘し、北京も「台湾を締め付けてもアメリカは静観する」と信じているようだ。しかも、再統一を実現すれば、「習近平は毛沢東や鄧小平に劣る」とは誰も言わなくなる。かたや、トランプ米大統領は「(中国を刺激するような)波風をたててもたいしたことにはならない」と考えている。問題は、これらがすべて間違っており、こうした希望的観測が重なり合うことで紛争リスクが高まっていることだ。(グリース、ワン)  

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