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2020.7.10 Fri
<7月号本日発売>
パンデミックと政治、「マジックマネー」の時代、アジアにおける戦争を防ぐには
「一部の国は他の国よりもなぜうまくパンデミック危機に対応できたのか」。答えはすでに明らかだ。パンデミック対応の成功を説明する要因は国の能力、政府への社会的信頼そして指導者のリーダーシップだ。一方、政府が機能不全に陥り、社会が分裂し、指導者にリーダーシップがなければ、市民や経済は、ウイルスに翻弄された。対応をひどく誤ったアメリカの威信と名声はいまや地に落ちている。今後、数年にわたって、パンデミックはアメリカの相対的な衰退とリベラルな国際秩序の形骸化をさらに進め、世界各地でファシズムの復活を促すことになるかもしれない。(フクヤマ)
今日、アメリカを含む先進国は、双子のショックの第二波としてパンデミックを経験している。2008年のグローバル金融危機、グローバルパンデミックのどちらか一つでも、各国政府は思うままに紙幣を刷り増し、借り入れを増やしたかもしれない。だが、これら二つの危機が波状的に重なることで、国の歳出能力そのものが塗り替えられつつある。これを「マジックマネー」の時代と呼ぶこともできる。「しかし、インフレになったらどうするのか。なぜインフレにならなくなったのか、そのサイクルはいつ戻ってくるのか」。この疑問については誰も確信ある答えを出せずにいる。(マラビー)
中国の積極性の高まりと軍備増強、一方での米抑止力の後退が重なり合うことで、米中戦争がアジアで起きるリスクはこの数十年で最大限に高まっており、しかもそのリスクは拡大し続けている。アメリカを衰退途上の国家だと確信し、すでに抑止力は空洞化しているとみなせば、北京は状況を見誤って台湾を封鎖あるいは攻撃する恐れがある。早い段階で台湾に侵攻して既成事実を作り、ワシントンがそれを受け入れざるを得ない状況を作るべきだと北京は考えているかもしれない。(フロノイ)