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2020.5.4 Mon
<5月号プレビュー>
財政支出でコロナ恐慌を抑え込めるか、コロナウイルス恐慌を回避せよ、石油の崩壊
各国は、あたかも2020年夏まで経済生産がゼロの状態が続くかのような財政支出を約束している。ニューディールを含めて、このレベルの政府支出には歴史的先例がない。つまり、これは「ハイパーケインズ主義」の実験のようなものだ。このような試みがアメリカ経済、ヨーロッパ経済、世界経済を救えるかどうかは誰にもわからない。希望をもてるとすれば、パンデミック前の段階で対GDP比債務がすでに230%近くに達していたにもかかわらず、日本の金利とインフレ率が引き続き安定していたことだ。しかし、政府支出で永遠に現実世界の経済活動を代替することはできない。(カラベル)
積極果敢な手を打たない限り、コロナウイルス危機は、グローバル金融危機(2008―09年)後の「グレートリセッション」以上に深刻な余波、つまり、1929―33年の「大恐慌」に匹敵する混乱を引き起こす恐れがある。このショックに対処していくには(1)新型コロナウイルスの拡散阻止に投資し、(2)需要崩壊によってダメージを受けたビジネスや企業を支え、(3)金融危機を回避するために手を尽くさなければならない。周到な計画なしでは、コロナウイルス・リセッションは簡単に恐慌と化す。(スローター 、リース)
パンデミックで世界経済のかなりの部分が停止状態に追い込まれている。石油(価格と需要の)危機は当面悪化し続け、その余波は石油産業を大きく超えた領域にも波及するだろう。需要減で原油価格が下がり、しかも各国の戦略備蓄が満杯になれば、世界の石油生産量はさらに激減する。備蓄と市場が飽和状態になれば、1バレル当たりの価格はゼロになる。これは、新型コロナがさまざまな国の経済を混乱に陥れた結果でもあるし、一部の国がとった地政学的決断の結果でもあるかもしれない。(ヤーギン)