Focal Points

2020.5.15 Fri

財政支出でコロナ恐慌を抑え込めるか
―― ハイパーケインズ主義の実験と日本の先例

各国は、あたかも2020年夏まで経済生産がゼロの状態が続くかのような財政支出を約束している。ニューディールを含めて、このレベルの政府支出には歴史的先例がない。つまり、これは「ハイパーケインズ主義」の実験のようなものだ。このような試みがアメリカ経済、ヨーロッパ経済、世界経済を救えるかどうかは誰にもわからない。希望をもてるとすれば、パンデミック前の段階で対GDP比債務がすでに230%近くに達していたにもかかわらず、日本の金利とインフレ率が引き続き安定していたことだ。しかし、政府支出で永遠に現実世界の経済活動を代替することはできない。(カラベル)

2008年のグローバル金融危機に続くグレートリセッションは低成長、(量的緩和などを通じた)金融の人為的安定、格差の拡大を特徴とする「ニューノーマル」を作りだし、その後の10年で中間層が空洞化し、政治的な怒りと反エリート感情が高まりをみせていった。コロナウイルスショックもグローバル経済を大きく変化させ、ポスト「ニューノーマル」をもたらすと考えられる。ウイルスショックから立ち直った世界が目にするグローバル経済は完全に姿を変えているはずだ。(エラリアン)

積極果敢な対応を試みなければ、コロナウイルス危機は2008―09年のグローバル金融危機後のグレートリセッションよりもさらに深刻な余波、つまり、1929―33年の「大恐慌」に匹敵する混乱を引き起こすかもしない。このショックに対処していくには(1)新型コロナウイルスの拡散阻止に投資し、(2)消費崩壊によってダメージを受けたビジネスや企業を支え、(3)金融危機を回避するために手を尽くさなければならない。周到な計画なしでは、コロナウイルス・リセッションは簡単に恐慌と化すだろう。(スローター 、リース)

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