Focal Points

2020.4.24 Fri

<5月号プレビュー>
コロナウイルス恐慌を回避せよ、デジタル権威主義と民主的サーベイランス、感染症が暴き出す政治システムの正体

積極果敢な対応を試みなければ、コロナウイルス危機は2008―09年のグローバル金融危機後のグレートリセッションよりもさらに深刻な余波、つまり、1929―33年の「大恐慌」に匹敵する混乱を引き起こすかもしない。このショックに対処していくには(1)新型コロナウイルスの拡散阻止に投資し、(2)消費崩壊によってダメージを受けたビジネスや企業を支え、(3)金融危機を回避するために手を尽くさなければならない。周到な計画なしでは、コロナウイルス・リセッションは簡単に恐慌と化すだろう。(スローター 、リース)

ウイルスの拡散を封じ込めようと奮闘するなか、欧米のリベラルな民主国家は、アウトブレイクを制限するための中国のやり方に注目し、権威主義的な手法の一部を採用すべきかどうかを考えている。パンデミックとの闘いにおいて強固なサーベイランス体制が不可欠であることを東アジア諸国はすでに立証しているのは事実だ。一方で、欧米の民主国家は、自国の市民を守るための「民主的サーベイランス」を確立しなければならない。今後数年間で、疫学とテクノロジー部門での世界的な混乱が重なり合い、グローバルな歴史が形作られることになるだろう。(ライト)

もっとも弱い立場の人に健康と福祉の提供を怠れば、社会全体を巻き込む集団的リスクが作り出される。これが感染症だ。世界は公衆衛生の強化や予防型医療を重視するだけでなく、貧困層へのより安価な医療ケアへのアクセスを保障し、将来のアウトブレイクを阻止し、それが起きた場合には原因を特定し、対応するための国際的なシステムを必要としている。だが、もっとも重要な教訓は、コロナウイルスそのものより、このウイルスが、脅威に適応している政治システムの何を明らかにしたかにある。(ボリキー)

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