2020.4.16 Fri
<4月号掲載論文より>
コロナウイルス・リセッション、ウイルスが暴いたシステムの脆弱性、パンデミックの社会・経済コスト
2008年のグローバル金融危機に続くグレートリセッションは低成長、(量的緩和などを通じた)金融の人為的安定、格差の拡大を特徴とする「ニューノーマル」を作りだし、その後の10年で中間層が空洞化し、政治的な怒りと反エリート感情が高まりをみせていった。コロナウイルスショックもグローバル経済を大きく変化させ、ポスト「ニューノーマル」をもたらすと考えられる。ウイルスショックから立ち直った世界が目にするグローバル経済は完全に姿を変えているはずだ。(エラリアン)
コロナウイルスの経済的余波への対処を試みるにつれて、各国の指導者たちはグローバル経済がかつてのように機能していないという事実に向き合うことになるはずだ。パンデミックは、グローバル化が非常に高い効率だけでなく、異常なまでに大きな脆弱性を内包していたことを暴き出した。特定のプロバイダーや地域が専門化された製品を生産するモデルでは、サプライチェーンがブレイクダウンすれば、予期せぬ脆弱性が露わになる。今後、数カ月で、こうした脆弱性が次々と明らかになっていくはずだ。(ファレル)
この60年にわたって、人獣共通感染症のほとんどの病原体は、農業、食糧生産、土地利用の変化によって、あるいは(野生動物取引市場などにおける)野生動物とヒトの接触によって発生してきた。数億の人々が、食糧を生きた野生動物市場に依存している現状を改革する必要がある。SARSそして現在のコロナウイルスのアウトブレイクもこの市場に密接に関わっている。・・・(マッカラバ、カレシュ)
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コロナウイルス・リセッション
―― 経済は地図のない海域へ2020年4月号 モハメド・A・エラリアン アリアンツ チーフ・エコノミック・アドバイザー
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ウイルスが暴いたシステムの脆弱性
―― われわれが知るグローバル化の終わり2020年4月号 ヘンリー・ファレル ジョージ・ワシントン大学 教授(政治学、国際関係論) アブラハム・ニューマン ジョージタウン大学外交大学院 教授(政治学)
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パンデミックの社会・経済コスト
―― 予防とコスト分担の国際的仕組みを2020年4月号 キャサリン・マッカラバ エコヘルス・アライアンス リサーチサイエンティスト ウィリアム・B・カレシュ エコヘルス・アライアンス 上席副会長