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2020.4.14 Tue
パンデミックの社会・経済コスト
―― 予防とコスト分担の国際的仕組みを
われわれが所属する非営利組織は「新型コロナウイルスがアジアでコウモリから人間へと感染を広げていく恐れがある」とかねて警告してきた。この60年にわたって、人獣共通感染症のほとんどの病原体は、農業、食糧生産、土地利用の変化によって、あるいは(野生動物取引市場などにおける)野生動物とヒトの接触によって発生してきた。これを抑え込むにはハイリスクの農業、食糧生産法をより安全なやり方へ移行させるために、土地利用に関する国内の法律・規制と国際的な法・ルールを強化し、調和させる必要がある。(マッカラバ、カレシュ )
公衆衛生担当省は、病院における集中治療の需要が急激に高まることを想定した対応計画を考案すべきだし、国と地方の当局は、アウトブレイクが起きた地域での社会的隔離策をとることに備える必要がある。どのような事態なら(学校や職場の閉鎖などの)抜本的な社会的隔離策をとるかを考えておくべきだ。社会的隔離に関する社会の応諾と支持を維持していくには、その計画の目的と詳細、なぜそれが必要かについて適切に社会との意思疎通をはかっていく必要がある。(コーリング)
現代医学によって明らかになっている1415の感染症の60%以上が動物と人間双方への感染力を持っている。鳥インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、エボラ出血熱、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる狂牛病)などを含むこれらの人畜共通感染症のほとんどは、本来動物の病気であったものが生物種の壁を越えて人間に感染するようになったものだ。病気は生物種や学問領域の垣根を越えて発生するという真実を認識し、それに応じた対応メカニズムを構築しない限り、人類は存亡の危機に立たされることになる。(カレシュ、クック)