2020.2.7 Fri
<2月号プレビュー>
ネオリベラリズムの崩壊と新社会契約、大国間競争の時代へ、米・イラク関係の終焉?
格差はつねに資本主義社会の特徴の一つだったが、人々は自分たちの生活の質が改善し、機会が拡大していると感じ、子供たちは自分たちよりも良い生活を送れると期待できる限り、そうした格差に目くじらを立てることはなかった。だが、この数十年でそうした機会が消失し始めると、システムそのものが不公正で、多くの人にとって利益にならないのではないかという見方が勢いを持ち始めた。新しい経済モデルを導入して人々をエンパワーし、公共財やインフラの所有を広げることで経済における市民の発言権を高めるべきだ。コミュニティレベルに権限を委譲し、生活を改善するための人々の集団行動を受け入れる、アクティブで分権化された国家が必要になる。(ファーンブレー)
未来の歴史家は、21世紀初めにワシントンが超大国間の競争に焦点を合わせるようになったことを、もっとも重要な帰結を伴ったストーリーとして解釈することになるはずだ。ライバルは台頭する中国そして復讐心に燃えるロシアだ。かつて同様に、アメリカが安全保障を確保し、自由社会としての繁栄を実現していくには、アジアとヨーロッパというもっとも重要な地域で好ましいパワーバランスを確保し、アメリカの社会と経済そして同盟国を、パワフルなライバルとの長期的競争に備えさせる必要がある。(コルビー、ミッチェル)
イラン革命防衛隊の司令官を殺害した米軍のドローン攻撃には別の犠牲者がいたのかもしれない。「米イラク関係」だ。アメリカとイランの双方と同盟関係にあるイラクは、いまやこの二つの国家の戦いの最前線に組み込まれてしまった。アメリカは、イランが支援するイラクのシーア派武装集団の脅威の高まりを警戒し、すでにバスラの領事館を閉鎖し、バグダッドの大使館とエルビルの領事館のスタッフを減らしている。ここで、バグダッドの大使館を閉鎖すれば、多大なる血と財産を注ぎ込んできたイラクとの関係を不幸にも終わらせることになる。(スカイ )