Focal Points

2020.12.28.Mon

<Agenda 2021 アンソロジーVol.47より>
資本主義の衝突、迫り来るパンデミック恐慌 、新しい勢力圏と大国間競争

グローバル経済の未来を左右するのは、資本主義と他の経済システムの競争ではなく、資本主義内の二つのモデル、つまり、「リベラルで能力主義的資本主義」と「政治的資本主義」間の競争だろう。リベラルな資本主義が「民衆の資本主義」へ進化し、拡大する格差問題にうまく対処しない限り、欧米のシステムは、社会主義ではなく、中国型の政治的資本主義に近づき、金権政治的になっていくだろう。格差を是正し、民衆の資本主義への進化を実現するには、中間層により大きな金融資産の保有を促す税インセンティブを与え、超富裕層の相続税を引き上げ、公教育の質を改善し、選挙キャンペーンを公的資金でカバーできるようにしなければならない。(ミラノヴィッチ)

20世紀の大恐慌以降のいかなる時期にもまして、いまやコロナウイルスが「世界のより多くの地域をリセッション(景気後退)に陥れている」。当然、力強い経済回復は期待できず、世界経済が2020年初頭の状況へ回帰するには、かなりの時間がかかるはずだ。この危機は前回のグローバル金融危機と比べても、世界経済活動の崩壊の規模と範囲が大きいために、さらに深刻な金融危機になる。しかも、かつては大きな流れを作り出したグローバル化潮流が停止すれば、世界経済が大変調を起こすのは避けられない。1930年代と似たムードが漂い始めている。(ラインハート)

中国とロシアは自国の利益や価値のために、欧米の利益を無視して、公然とパワーを行使するようになり、ワシントンも、地政学が「大国間競争」によって規定されていることを認識している。今後、アメリカの役割は変化するだけでなく、小さくなっていく。すでに世界には複数の勢力圏が存在することをリアリティとして受け入れ、「実現不可能な野望」は放棄し、勢力圏が地政学を規定する中核要因であり続けると言う事実を受け入れる必要がある。(アリソン)

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