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2020.12.21.Tue
<Agenda2021>
ドキュメント アウトブレイク(2020/2ー2020/4)―― コロナウイルスが変えた世界 Part 1
ウイルスが人類社会に与える衝撃の規模は、その感染力がどの程度で、感染した人の致死率がどの程度になるかに左右されるが、これらを的確に判断できる状況にはない。これまでのところ、中国の管理措置ではウイルスを抑え込めていないようだし、ウイルスはいずれ変異し、致死率と拡散能力を変化させていく。各国政府は、新型ウイルスを封じ込められず、深刻で致死性の高い感染症として世界で猛威を振るうかもしれないリスクを認識し、最悪の事態に備えた行動をとる必要がある。(イングルスビー)
考えるべきは、コロナウイルスがSARSのように管理できるようになるか、それとも、インフルエンザや通常の風邪のようになるかだ。SARSは少なくとも、われわれの知る限り、この14年間で感染事例はない。一方、インフルエンザや風邪は地域的あるいは特定の諸国で、数カ月、数年、あるいは永遠に流行する。この点についてわれわれは情報をもっていない。われわれが試みるべきは、コロナウイルスの感染拡大を阻止できると想定し、そのために必要なあらゆることを試みる一方で、完全にストップできない場合に備えて、このウイルスをより適切に管理する、あるいはその衝撃を緩和するにはどのような計画が必要かを考えていくことだ。(T・フリーデン)
「グローバルパンデミック」と認識される事態に備える時間的猶予はわずかながらも残されている。公衆衛生担当省は、病院における集中治療の需要が急激に高まることを想定した対応計画を考案すべきだし、国と地方の当局は、アウトブレイクが起きた地域での社会的隔離策をとることに備える必要がある。どのような事態なら(学校や職場の閉鎖などの)抜本的な社会的隔離策をとるかを考えておくべきだ。社会的隔離に関する社会の応諾と支持を維持していくには、その計画の目的と詳細、なぜそれが必要かについて適切に社会との意思疎通をはかっていく必要がある。(コーリング)
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最悪の事態に備えるべき理由
―― 新型コロナウイルスにどう対処するか2020年3月号 トム・イングルスビー ジョンズ・ホプキンス 公衆衛生大学院 ヘルス・セキュリティセンター 所長
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CFR Meeting
新型ウイルスの脅威
―― 封じ込めはできるのか、政府の対応は適切か、経済はどうなるか2020年3月号 トーマス・R・フリーデン 米疾病対策センター(CDC)前所長 ヤンゾン・ファン 米外交問題評議会シニアフェロー(グローバルヘルス担当) ジェニファー・ナッゾ ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院 シニアスカラー ブラッド・セッツァー 米外交問題評議会シニアフェロー(国際経済担当)
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封じ込めから社会的隔離措置へ
―― 1918年の教訓2020年4月号 ベンジャミン・コーリング 香港大学公衆衛生大学院 教授