2020.12.18. Fri
<2021年1月号プレビュー>
コロナ後の経済再建を考える 、ワクチン開発と集団免疫、「アメリカは敗北しつつある」
2009年と比べて今回は財政政策上より多くの手を打てる。グローバル金融危機後の2009年1月におけるアメリカの債務残高が国内総生産(GDP)の50%未満だったのに対して、パンデミックを経たバイデンの大統領就任時には債務がGDPの100%におそらく達していることを考慮すれば、この見方は間違っているようにも思えるかもしれない。だが、かつてと現在では金利に違いがある。2009年1月の段階で10年国債の実質金利はおよそ2%だったが、2021年1月のそれはマイナス1%程度になると考えられる。バイデンがキャンペーンで約束してきた政策を実施すれば、回復は加速する。景気サイクルとワクチンも追い風を作り出すはずだ。(ファーマン)
ワクチンの大規模接種と感染・回復の免疫獲得によってアメリカは集団免疫状態を手に入れ、2021年秋までには平常への復帰を果たせるかもしれない。一方、コロナウイルスのアウトブレイクを短期間で封じ込めただけに、ウイルスにさらされた中国人はほとんどおらず、このままでは人口の多くがこの感染症に脆弱なままで放置される。中国はウイルスが入り込むのを避けるために国際的な人の移動の規制を維持しつつ、最終的には、国内人口へのワクチンの大規模接種で集団免疫を獲得するしか手はなくなる。当然、これまで北京が約束してきた途上国へのワクチン供給を当面見送らざるを得なくなり、信頼性は損なわれる。一言で言えば、ワクチンが大国間競争のゲームチェンジャーになる可能性がある。(ファン)
2008年の金融危機を前に、北京の指導者たちは欧米の衰退が実際に始まったと考えるようになった。マルクス主義的な歴史の流れを信じる北京の指導者たちは、毛沢東の言う救いようのない「反動勢力」で無為に中国を抑え込もうとするアメリカは挫折すると考えてきた。それだけに、ワシントンは中国の能力と目的を評価するだけでなく、「北京の指導者たちがアメリカをどのように認識しているか」を踏まえた戦略をとるべきだ。中国とうまく競い合うためにアメリカが実行しなければならないことの多くは、アメリカが管理できる範囲内にあり、まだ行動のための時間も残されている。(ゲワーツ)