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2020.11.19. Thu
経済活動再開の恩恵とリスク
―― 命を救うことで、生活とビジネスを救え
都市封鎖、行動規制解除後の感染率の推移は国ごとにばらつきがある。感染を封じ込めるほど十分長期にわたって封鎖や行動規制を続け、公衆衛生システムを強化し、レジリエンスを高め、社会にメッセージを適切に伝えた国は、日常生活への復帰後も壊滅的な事態には陥っていない。しかし、大した準備もせずに、経済・社会活動の再開に踏み切り、いまや大きなコストを支払わされているブラジルやアメリカのような国もある。社会・経済活動再開に向けたロードマップが存在することは安心材料だが、数週間から数カ月先にはそれを書き換える必要があるかもしれない。(ミックハウド、ケーツ)
感染率の一貫した減少を待たずに経済活動を再開した国や州は、新たなアウトブレイク、死亡率の上昇だけでなく、長期的な経済的混乱というリスクを冒すことになる。ウイルスを恐れる人々は買い物、旅行、外食をしようとはしない。この状況であれば、都市が封鎖されていようが、それが解除されようが、景気回復は期待できない。経済活動の再開を焦るあまり、「経済活動を迅速に再開するためなら、救える命が少なくなっても仕方がない」という考えは間違っているし、脱パンデミックの経済学がそのように機能することはない。人々の健康を最優先に据えて重視する行動が経済再生への道を切り開くだろう。(チェルクパリ、フリーデン)
「病気なのに、仕事に向かい、他の人に感染させるかもしれない」。有給の病欠が認められていれば、家で安静にしていても、給料を減らされることはない。実際、(医療保険)公衆衛生は、政府が役割を果たすのが適切で、これが非常に重要な公共財であることを理解すべきだろう。公衆衛生は、国防とともにきわめて重要だ。 (C・ラウズ)
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経済活動再開の恩恵とリスク
―― 感染率拡大の国家間格差はなぜ生じたか2020年8月号 ジョシュ・ミックハウド カイザーファミリー財団 アソシエイト・ディレクター (グローバルヘルス政策担当) ジェン・ケーツ カイザーファミリー財団 シニアバイスプレジデント (グローバルヘルス&HIV政策担当)
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脱パンデミックの経済学
―― 命を救うことで、生活とビジネスを救え2020年6月号 ラジーブ・チェルクパリ ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院 エコノミスト トム・フリーデン 米外交問題評議会 シニアフェローグローバルヘルス担当) 前米疾病対策センター所長(2009―2017)
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CFR Meeting
コロナウイルスが変える社会と経済
――経済効率を落としてもよりレジリエントな存在になる2020年6月号 エドマンド・S・フェルプス コロンビア大学資本主義・社会センター所長 セシリア・エレナ・ラウズ プリンストン大学ウッドロー・ウィルソン・スクール ディーン グレン・ハバード コロンビア大学ビジネススクール ディーン