Focal Points

2020.10.16. Fri

<10月号掲載論文より>
世界はより平等になりつつある、米中対立の本質とは、インドのパンデミックが制御不能な理由

グローバル化は先進国における国内格差を拡大しつつも、世界レベルでみた(国家間)格差を低下させるという別の重要な作用を伴っていた。こうした世界の平等化は中国市民の収入が大幅に増加したことで促されてきた。つまり、アジアの成長は欧米中間層の衰退の背後で起きていたと言い換えることもできる。このトレンドが続けば、今後10年以内に中国の中間層の多くは欧米の中間層よりも豊かになる。これは、この2世紀で初めて、欧米の中間層が、世界レベルでみた所得のトップ20%に入るグローバルエリートの一部ではなくなることを意味する。(ミラノビッチ)

ワシントンの中国批判は的外れではない。アメリカは中国との非常に深刻な競争を展開しており、多くの面で強硬路線をとらざるを得ない状況にある。だが、米中間の問題の根底にイデオロギー対立が存在するわけではない。経済、人口、国土の圧倒的な規模とそれがもたらすパワーゆえに、 たとえ中国が民主国家だったとしても、ワシントンはこの国のことを警戒するはずだ。逆に、これをイデオロギー競争とみなせば、対立の本質を見誤り、壊滅的な結末に直面する恐れがある。大国間競争では、イデオロギー的な一致を求めたり、完全な勝利を主張したりすることなど無意味であり、むしろ、壊滅的事態を招きいれることを理解する必要がある。(コルビー、カプラン)

最近のインドにおける急速なコロナウイルスの感染拡大は、経済に大きなダメージを与えたロックダウン(封鎖措置)を緩和したことで引き起こされている。時とともにウイルスの毒性は弱くなりつつあるかもしれないが、感染力を高めている可能性がある。いずれにせよ、インドでの新規感染者が減少し、コロナウイルスが風土病化するまで、ウイルスの感染拡大は2021年初頭まで続くと考えるべきだろう。9月初旬の段階で、インドでの感染者数は約430万とされているが、実際の感染者数は2000万から4000万に達していると考えられる。(ジョン)

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