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2020.1.28 Tue

中東における全面戦争のリスク
―― 何が起きても不思議はない

中東のいかなる地域における衝突も中東全体を紛争に巻き込む引き金になる恐れがある。一つの危機をどうにか封じ込めても、それが無駄な努力になる危険が高まっているのはこのためだ。しかも、国家構造が弱く、非国家アクターが大きな力をもち、数多くの大きな変化が同時多発的に進行している。イスラエルと敵対勢力、イランとサウジ、そしてスンニ派の内部分裂が存在し、これらが交差するだけでなく、ローカルな対立と絡み合っている。(マレー)

イラン革命防衛隊の司令官を殺害した米軍のドローン攻撃には別の犠牲者がいたのかもしれない。「米イラク関係」だ。アメリカとイランの双方と同盟関係にあるイラクは、いまやこの二つの国家の戦いの最前線に組み込まれてしまった。アメリカは、イランが支援するイラクのシーア派武装集団の脅威の高まりを警戒し、すでにバスラの領事館を閉鎖し、バグダッドの大使館とエルビルの領事館のスタッフを減らしている。ここで、バグダッドの大使館を閉鎖すれば、多大なる血と財産を注ぎ込んできたイラクとの関係を不幸にも終わらせることになる。(スカイ )

カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)という豊かな湾岸諸国が繁栄を維持する一方で、エジプト、イラク、シリアという伝統的な地域大国はいまや国家としてほとんど機能していない。リビアを含む破綻国家、そして国家基盤が揺らいで弱体化した国も増えている。いまやほぼすべてのアラブ国家は「恐れ」と「野望」をもっている。弱体化した国と国際的な混乱につけ込みたいという各国の「野望」が、破壊的な紛争への関与へと走らせ、地域全体をカオスに巻き込みかねない状況にある。(リンチ)

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