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2019.9.17 Tue

核をめぐるイランの立場
――紛争リスクと石油の地政学

仮にテヘランが核合意や核不拡散条約(NPT)から離脱しても、最高指導者ハメネイのファトワ(宗教令)がイランの核開発を阻むことになる。2003年にハメネイは核兵器の所有と蓄積をファトワで公式に禁止している。イランとの交渉を望むと繰り返し発言しているトランプにその気があれば、最高指導者のファトワを基盤に包括的な合意をまとめる外交交渉の道は依然として残されている。(ムサビアン )

アメリカとイランの局地戦は、スンニ派の湾岸諸国やイスラエル、一方でイランの同盟勢力であるイラク、レバノン、アフガニスタン、イエメン、シリアのシーア派を巻き込んだ地域紛争に瞬く間に拡大する。イランはホルムズ海峡を脅かし、世界の原油価格を高騰させることもできる。トランプ政権とイスラム共和国はもっと慎重になる必要がある。そうしない限り、両国は、瞬く間に制御不能となる危険で大きなコストを強いられる渦に巻き込まれることになる。(ゴールデンバーグ)

石油輸出国機構(OPEC)でのイランの影響力は低下し、原油の生産能力も低下しつつある一方、イランは、「資源ツールを越えた交渉カード」をもっていることを世界に示そうと、北朝鮮をモデルに、核開発プログラムを前倒しで再開するかもしれないし、それでもうまくいかなければ、(誰による仕業か分からない)グレーゾーンでのアラブ産油国のエネルギー施設への攻撃を続けるかもしれない。現在のイランにとって本当の教訓とすべきなのが、北朝鮮ではなく、「政治腐敗、生産施設のメンテへの投資不足、外国投資の引き揚げによってその石油産業が機能不全に陥っている」ベネズエラかもしれないからだ。・・・(ジャッフェ)

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