Focal Points

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2019.8.26 Mon

<米中貿易圏に分断される世界>
ー米中経済ディカップリングの意味あい

トランプ政権は、中国政府が「国が支配する経済」から「市場経済」へと一夜にしてシステムを作り替えることを望んでいる。中国経済のあらゆる側面への管理を維持することで、権力を堅持してきた共産党政府がこれを受け入れるはずはない。各国はライバルの貿易ブロックのどちらかを選ばざるを得なくなり、これまでの「グローバル貿易システム」は解体へ向かう。(ボウン、アーウィン)

現在の地政学構造は、一つの重要な例外を別にすれば、1970年代、あるいは、1920年代のそれと比べてさえ、それほどかけ離れてはいない。・・・過去と現在のもっとも大きな違いは、アジアのパワーバランスの鍵を握るプレイヤーとして中国が日本に取って代わったことだ。しかし、この2世代の間に中国が達成した成果は、リベラルな覇権国としてアメリカが主導した経済的開放性(各国の市場自由化)と(経済と貿易の流れをスムーズにした)グローバルな安全保障への貢献なしでは決して実現しなかったはずだ。(コトキン)

2019年に入って最初の5カ月で、中国の対米輸出は4・8%減少したが、同時期に、中国にとって最大の貿易相手である欧州連合(EU)への輸出は14・2%上昇し、EUからの輸入も8・3%上昇している。一方、アメリカの対中輸出は2019年に入って以降の最初の5カ月で26%以上の落ち込みをみせた。米中経済の切り離しのあるなしに関わらず、中国はアメリカからの経済独立コースを着実に歩み続けている。(ネーサン)

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