James Gillray /wikimedia.org
2019.7.29 Mon
<2019年8月号プレビュー>
強大化する中国にどう対処するか
―― 対中封じ込めは解決策にならない
中国の対外的な行動と構想がリベラルな価値と秩序を脅かし、しかも、習近平は世界に中国的ソリューションをオファーできると明言している。中国の行動は、内外で自分たちの地位を確固たるものにしたい北京の指導者たちの意向を映し出しているが、「チャイナ・モデル」の輸出はその目的ではない。アメリカと同盟国が北京の行動に効果的に対処するには、もっと厳密に北京の行動を把握する必要がある。結局のところ、中国に対処していく最善の方法は、民主主義をよりよく機能させることだ。(ワイス )
オーストラリアの経験が特有なのはキャンベラが北京の脅威だけでなく、中国からの経済的報復を警戒する国内のビジネスリーダーたちの圧力をどのように押し返しているかにある。キャンベラはリスクを管理し、ダメージを特定する一方で、全般的なエンゲージメントを維持するという(問題と恩恵を)区別する対応をみせている。リスクとダメージを管理する一方で、相手にエンゲージし続けるためのバランスをとるのは容易ではない。この側面でのオーストラリアの努力を、いずれ同じような環境に遭遇するであろう他の民主国家の指導者たちは注意深く見守る必要があるだろう。(ガーナー)
現在のトレンドが続けば、そう遠くない将来に、中国はアメリカに代わって、東アジアの経済・軍事・政治を支配する覇権国になるだろう。そして、地域覇権国は近隣諸国の内政にかなり干渉することを歴史は教えている。中国に対抗できるポテンシャルをもつ唯一の国・日本は、特に重要な選択に直面している。日本人は軍備増強には懐疑的で、むしろ、経済の停滞と高齢社会のコストを懸念しており、引き続き、銃よりもパンを優先する決断を下すかもしれない。だが実際にそうした選択をする前に、中国が支配するアジアにおける自分たちの生活がどのようなものになるかについて日本人はよく考えるべきだろう。(リンド)