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2019.7.22 Mon
<8月号プレビュー>
制御不能な戦争
―― イランとの衝突は瞬く間に地域紛争へ拡大する
アメリカとイランの局地戦は、スンニ派の湾岸諸国やイスラエル、一方でイランの同盟勢力であるイラク、レバノン、アフガニスタン、イエメン、シリアのシーア派を巻き込んだ地域紛争に瞬く間に拡大する。イランはホルムズ海峡を脅かし、世界の原油価格を高騰させることもできる。トランプ政権とイスラム共和国はもっと慎重になる必要がある。そうしない限り、両国は、瞬く間に制御不能となる危険で大きなコストを強いられる渦に巻き込まれることになる。(ゴールデンバーグ)
石油輸出国機構(OPEC)でのイランの影響力は低下し、原油の生産能力も低下しつつある一方、イランは、「資源ツールを越えた交渉カード」をもっていることを世界に示そうと、北朝鮮をモデルに、核開発プログラムを前倒しで再開するかもしれないし、それでもうまくいかなければ、(誰による仕業か分からない)グレーゾーンでのアラブ産油国のエネルギー施設への攻撃を続けるかもしれない。現在のイランにとって本当の教訓とすべきなのが、北朝鮮ではなく、「政治腐敗、生産施設のメンテへの投資不足、外国投資の引き揚げによってその石油産業が機能不全に陥っている」ベネズエラかもしれないからだ。・・・(ジャッフェ)
中東では原発建設がブームになっているが、中東に原子炉を建設することの安全保障リスクがブームのなかで見えなくなっているようだ。リスクは原子炉の先に核兵器生産が見え隠れすることだけではない。原子力発電所が武装勢力の攻撃ターゲット、あるいは、占拠されて恫喝の手段とされてしまう恐れがある。すでに中東では「建設中の原子炉」が何度も攻撃されている。過激派組織が稼働中の原子炉を攻撃対象にするリスクは排除できないだろう。・・・(ランバーグ)