Stuart Boulton / Shutterstock.com
2019.6.17 Mon
<6月号掲載論文>
イギリスの混乱は長期化する
―― イギリスの解体か保守党の分裂か
「EUの単一市場と関税同盟を離脱しつつ、(北アイルランドと)アイルランド間にはっきりとした国境が出現するのを回避し、イギリス全体としてのブレグジットの実現」を目指したテリーザ・メイのアプローチが、これまでのところ解決不能なトリレンマを作り出している。しかも、北アイルランドの立場も分裂している。結局、英議会の分裂は国が分裂していることを意味する。・・・(スロート)
二大政党の牙城に第三政党がどこまで食い込み、政治を再編できるか。すでに、労働党はこれ以上の離党者を出さぬように、2019年3月に立ち上げられた新党、チェンジUKの立場を取り入れ、国民投票の再実施を支持している。今後、国民投票をめぐって作り出された分裂が永続化するような、より抜本的な再編が起きるかどうか、これによって今後のイギリス政治は左右される。(メノン)
どのようなブレグジットを望んでいるのか、イギリス国内にコンセンサスはない。長期的には、保守党が分裂して(国民投票のやり直しを示唆している)労働党が政権をとるかもしれないし、あるいは、イギリスは国家分裂してイングランドとウェールズの連合へと縮小していくかもしれない。(マタイス)