Andrea Hanks / Official White House Photo
2019.5.8 Wed
中国経済のスローダウンと米中対立
権力を一手に掌握した習近平は、政治、社会、経済に共産党を深く浸透させ、野心的で拡張的な外交政策に転じた。これらの多くが成功しているが、一方で大きな問題も生まれている。党が企業に深く浸透するようになったために、中国企業はいまや共産党の一部とみなされ、国際的な反発も高まっている。習近平モデルが作り出した問題に対処していくには、一期目のイニシアティブの多くを見直す必要がある。(エコノミー)
人口の高齢化、生産年齢人口の減少など、中国経済のスローダウンを説明する要因は数多くある。だが重要なのは、中国の家計と国の債務がすでに先進諸国と同じレベルに達し、債務が名目GDPよりも速いペースで拡大していることだ。2019年1月の信用拡大は、2018年の年間社会融資総量合計の24%規模に達した。北京は高い経済成長率のためなら、進んでより大きな債務を抱え込むつもりのようだ。(ボールディング)
経済・貿易領域の対立が、安全保障領域に与える長期的な意味合いも考える必要がある。北京がアメリカとの経済関係に見切りをつければ、国際システムに背を向け、明確にイラン、ロシア、北朝鮮との関係を強化し、アメリカと同盟諸国の関係に楔を打ち込もうとすると考えられるからだ。相互依存関係の管理にトランプ政権が苛立ち、経済・貿易領域で中国を遠ざけていけば、安全保障領域でより厄介な問題を抱え込む恐れがある。(ワイン)