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2019.5.3 Fri

新「ドイツ問題」とヨーロッパの分裂
―― 旧ドイツ問題を封じ込めた秩序の解体

ドイツ問題を封じ込めてきたこれら戦後秩序の要因が、いまやすべて曖昧化している。ナショナリズムが台頭し、民主主義は逆風にさらされている。国際的な自由貿易体制は攻撃され、アメリカのヨーロッパへの安全保障コミットメントも疑問視されている。ヨーロッパそしてドイツの歴史からみて、このように変化する環境が、ドイツ人を含むヨーロッパ人の行動パターンを変えないと言い切れるだろうか。(ケーガン)

20世紀期を通じて、「ドイツ問題」がヨーロッパのエリートたちを苦しめてきた。他のヨーロッパ諸国と比べて、ドイツが余りに強靱で、その経済パワーが大きすぎたからだ。だが、現在のドイツ問題とはドイツの弱さに派生している。ユーロ危機を引き起こしている要因は多岐にわたるが、実際には一つのルーツを共有している。それは、ドイツがヨーロッパにおける責任ある経済覇権国としての役割を果たさなかったことだ。(マタイス)

たしかに、ヨーロッパが「敵対的なロシア」と「無関心なアメリカ」の板挟みになれば、ベルリンはヨーロッパを政治的に守るだけでなく、軍事的に防衛することを求める大きな圧力にさらされる。だが、この国の核武装には「ドイツ問題」という歴史問題が関わってくるだけでなく、EUを中核に据えてきた戦後ドイツの国家アイデンティティそのものが揺るがされる。・・・(クーン、トリスタン・ボルペ )

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