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2019.5.24 Fri
<2019年6月号プレビュー>
イギリスの混乱は長期化する、イギリス政治の再編か、ほか
ブレグジットの国民投票に踏み切ったのは、保守党内部で長く続けられていた「ヨーロッパにおけるイギリスの立場」に関する論争に終止符を打ちたいと考えたからだった。だが、国民投票の結果、論争はさらに深刻化した。そして「EUの単一市場と関税同盟を離脱しつつ、(北アイルランドと)アイルランド間にはっきりとした国境が出現するのを回避し、イギリス全体としてのブレグジットの実現」を目指したテリーザ・メイのアプローチが、これまでのところ解決不能なトリレンマを作り出している。(スロート)
労働党はこれ以上の離党者を出さぬように、2019年3月に立ち上げられた新党、チェンジUKの立場を取り入れ、国民投票の再実施を支持している。だが、そのチェンジUKも(地方選挙で大きな躍進を遂げた)自由民主党と選挙協力をしない限り、中道派の票を奪い合うことになり、保守党の基盤に切り込めない。今後、国民投票をめぐって作り出された分裂が永続化するような、より抜本的な再編が起きるかどうか、これによって今後のイギリス政治は左右される。(メノンほか)
どのようなブレグジットを望んでいるのか、イギリス国内にコンセンサスはない。長期的には、保守党が分裂して(国民投票のやり直しを示唆している)労働党が政権をとるかもしれないし、あるいは、イギリスは国家分裂してイングランドとウェールズの連合へと縮小していくかもしれない。・・・(マタイス)