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2019.4.5 Fri
経済成長への期待と憂鬱な現実
―― 「奇跡の世界後」の経済に備えよ
政治家が目を向けるべきは、急を要する社会問題であり、財政赤字や債務ではないだろう。重要な投資に焦点を合わせ、「経済にダメージを与えないように」配慮しなればならない。だが、財政赤字の削減を最優先にする必要はない。高い債務レベルに派生するリスクは、財政赤字削減策が引き起こすダメージに比べれば小さい。このアプローチなら、債務拡大の弊害と財政赤字削減の余波の間の合理的なバランスをとれるはずだ。(ファーマン、サマーズ)
2017年12月、トランプは「税制改革案で財政赤字が膨らむことはない」と主張し、その理由として経済成長率が6%にさえ達するからだと主張した。トランプ政権は、経済をもっと急速に成長させればあらゆる問題への解決策になると期待しているし、この経済成長は減税措置と規制緩和によって実現すると確信しているようだ。それが可能なら素晴らしいが、希望的観測である可能性が大きい。(マンキュー)
人口減少、レバレッジの解消、脱グローバル化が成長を阻む大きな障害となっている以上、各国の政策決定者たちは経済的成功の定義を見直し、力強い経済成長の指標を1-2%引き下げるべきだろう。問題は、こうした経済的成功の新しい定義を理解するか、受け入れている政治指導者がほとんどいないことだ。世界のいかなる地域も2008年前のような急速な経済成長を遂げることはあり得ないし、そう期待すべきでもない。(シャルマ)