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2019.4.11 Thu
動き出したクルド統一国家への流れ
―― クルドの覚醒と中東の未来
シリア紛争とイスラム国勢力が作り出した混乱と騒乱のなかで国境を越えた連帯を形成したクルド人は、いまやイラク、トルコ、シリアで明確な政治的プレゼンスを確立し、ヨーロッパでも力強いディアスポラ・コミュニティが誕生している。これらの流れが重なり合うことで、汎クルドのアイデンティティが強化されている。単一の独立したクルディスタンが存在しなくても、クルド人の覚醒が始まっている。・・・(バーキー)
シリアのクルド人勢力への影響力をもつクルド労働者党(PKK)は、分離独立は求めていない。むしろ、中東における3000万のクルド人を束ねる「汎クルド連邦」の実現を夢見ている。トルコとシリアの双方で自治的なクルド地域を確立するという夢が実現するかどうかは予断を許さないが、最近の進展が、すでにトルコと中東の政治地図を変化させているのは間違いないだろう。(タンチューム)
オスマン帝国内では大きな民族グループだったクルド人の居住地域はトルコ、イラン、フランス委任統治領シリア、そしてイラクの四つの国へと分散・分割された。その後も各国のクルド人、特にイラクのクルド人は自分たちの地域の分離独立という夢を追い続けた。いまや、彼らはイラクとトルコの間で揺れ動いている。現状で可能なのは、トルコに対するより従順な依存へと移行することくらいなのかもしれない。(ヒルターマン)