Focal Points

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2019.3.5. Tue

「われわれと彼ら」の生物学
―― ナショナリズムの脳メカニズム

人間の脳は、帰属する集団メンバーとアウトサイダーを瞬時に区別して、メンバーには親切に、アウトサイダーには敵対的に接するように仕向ける。集団への帰属に関する限り、人類はウガンダの森で殺し合いをしているチンパンジーと大差ない。人が自分の忠誠を「偶発性」に左右されることを頭で理解しても、集団意識を形作る心理的ベースは変化しない。心のなかで、新しいチームメートが翌日には再び敵になってしまうこともある。(サポルスキー)

今後も、国の構造や国境線がエスノナショナリズムによって揺るがされることになる。・・・エスノナショナリズムは、近代国家の形成プロセスが表へと引きずり出す人間の感情と精神にかかわる本質であり、連帯と敵意の源である。形は変わるとしても、今後長い世代にわたってエスノナショナリズムがなくなることはあり得ないし、これに直接的に向き合わない限り、秩序の安定を導き出すことはできない。(ミューラー)

人類も、緊密で豊かな社会生活を送る霊長類の一種にすぎない。人類は、穏やかな霊長類よりも、暴力的な霊長類との共通点のほうが多い。彼らの本質はわれわれの本質なのだ。だが、より重要なポイントは、本質的に暴力的な性向をもっていても、平和を実現できる霊長類もいるということだ。考えるべきは、どのような状況なら霊長類は平和を実現できるのか、そして人類がそのような平和を実現できるかどうかだ。(サポルスキー)

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