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2019.3.13. Wed
イギリスのブレグジット・ジレンマ
―― イギリスの解体か保守党の分裂か
移行期間中のイギリスはEU加盟国としてのあらゆる義務を負う一方で、EUにおける議決権を失う。しかも、どのようなブレグジットを望んでいるのか、イギリス国内にコンセンサスはない。長期的には、保守党が分裂して(国民投票のやり直しを示唆している)労働党が政権をとるかもしれないし、あるいは、イギリスは国家分裂してイングランドとウェールズの連合へと縮小していくかもしれない。(マタイス)
頑迷な離脱派は、テリーザ・メイがまとめた離脱合意を非難し、これでは「ヨーロッパへの隷属」と同じだと批判している。一方、左派の労働党は、ブレグジットは受け入れるとしつつも、それはEUメンバーだったときと同様に好ましい条件をEUから引き出した場合だけだと条件をつけている。主要な政治プレイヤーが目を通している台本と現実の関連がほとんどないだけに、どのような結末になるかはまったくわからない。(ホール)
イギリスの政治階級は、バックミラーを見ながら、将来を考えようとしている。このために、変化する世界におけるイギリスの地位について考えることができずにいる。この現状の根底にあるのは、国家アイデンティティの危機だ。世界は、大国としてのイギリスの時代が終わっていることを知っている。イギリスの衰退を覆すには、過去を前提にするのではなく、未来から現在を捉える必要がある。(マーチン)