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2019.2.26. Tue
核能力の核戦力化を阻止せよ
―― 北朝鮮は非核化には応じない
北朝鮮による一方的核放棄というフィクションを維持し、北朝鮮の核・ミサイル実験の再開を阻止するために、トランプは一部の制裁緩和、あるいは和平合意に向けたプレリュードとしての米軍の地域的プレゼンスの再編に応じるかもしれない。だが、北朝鮮の核開発という現実を否定することに依存する戦略は、いずれ内側あるいは外側から破綻して暴走し始め、これが北朝鮮との新たな核危機につながっていくリスクがある。(ミラー、ビピン・ナラン)
金正恩が意味のある時間枠のなかで非核化に応じることはほぼあり得ない。彼は「国の存亡に関わる」核抑止力を放棄することは自殺行為だと考えており、現状では完全な非核化は実質的に交渉テーブルには載せられていないとみなすべきだ。戦争を通じてしか実現しない非核化に固執するよりも、核能力の戦力化を阻止していくことを交渉の戦略目的に据えるべきだろう。(ダルトン、レバイ)
金正恩はなぜトランプとの首脳会談を求めたのか。トランプが期待するように、何としても制裁を緩和させるために、妥協せざるを得ないと考えているのか。それとも、米大統領と会談することで名声を手にし、核保有国として北朝鮮が実質的に受け入れられることを望んでいるのか。この認識上のギャップが交渉で明らかになれば、ともに望んでいない壊滅的事態が引き起こされる恐れがある。(ジャービス、ラップ=フーパー)
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三つの核危機シナリオ
―― 北朝鮮、ロシア、イランに対する間違った戦略2019年3月号 ニコラス・J・ミラー ダートマスカレッジ アシスタント・プロフェサー(政治学)、ビピン・ナラン マサチューセッツ工科大学准教授(政治学)
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核能力の核戦力化を阻止せよ
―― 北朝鮮は非核化には応じない2018年5月号 トビー・ダルトン カーネギー国際平和財団 核政策プログラム共同ディレクター、アリエル・レバイト カーネギー国際平和財団 シニアフェロー
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誰も望まない戦争はどのように始まるか
―― 外交から戦争への転びやすい坂道2018年5月号 ロバート・ジャービス コロンビア大学教授(国際関係論)、ミラ・ラップ=フーパー イエール大学中国センター シニアフェロー